拝金と排泄はよく似ている
急な腹痛　お腹を下して
この世のものとは思えぬ痛み
これ以上ない責め苦 地獄を味わい尽くした後
至上の快楽を得たような清々しい顔をして
あるいは深淵と目が合い この世に絶望し
げっそりとした顔をして 扉から出てくる
お金を最上のものとし お金を信じ 崇め奉り
金銭を得るということ
即ち 信仰する神をこの手に収めるということは
汚ねえ話 カナクソをひるのと紙一重 神だけに
笑えない冗談みたいな話だが綺麗なもんじゃないだろう
神聖視するのは似て非なる偶像 というか月とスッポン
真逆も真逆のクソと神様だ
数多の苦難と屍を越えて手にしたそれは
一体どっちだ 刮目しろよ

夢はプロ棋士かプロ野球選手
勉強もスポーツもできて人望も厚いイケメン
インキャの僕の才能は人知れず彼を殺すことだった
勝てば嬉しい 負ければ悔しい
勝ち続ければ称賛されて 負け続ければ見向きもされない
スポットライトを浴びてヒーローインタビューを受ける勇者の陰で
エゴサーチする負け犬は罵詈雑言の嵐を目の当たりにして更に自滅する
僕は自分をカムフラージュして観客席に紛れ込み それを観ている
どれだけ擬装が巧くとも どれだけ殺しが上手くとも
プロにはなれない プロなどないから
舞台には立てない 勝負もさせてもらえない
殺し屋ではない 殺しが趣味の殺人鬼だからお金も貰えない が
拝金と殺人はよく似ている
裡に秘める苦しみと解放した時の悦びが

人間というシステムは複雑だが決して複雑過ぎはせず
ある意味シンプルで且つ同じ回路を使って
正反対の動機を導くこともあるからしてfuckin'　
母親をバックで犯すような誤作動を正常に起こすから
気丈な精神に異常を来すこともある
幼い頃に虐待を受けた彼女が親になって子供に
自分が受けた以上の異常な罰を与えた結果死なす
罪の意識は無意識ですら機能せず 牢獄の中ですら
亡き我が子より我が身を思って咽び泣き
どうして私がこんな目に遭うの？と
報道を通して事実を知った大衆は何を思うか明白だろう
誰が悪いか？　本人か？　世の中か？
いずれにしても裁きを下され 罰を受け
人殺しは表彰台に登ることはない
お金を得られず 美味しい飯には有り付けず 懲役を食らうだけ
殺人鬼なら尚更
好きなことを仕事にできない
野球や将棋を目指せば応援してもらえるのに
人を殺したいと言えば 強制的に病院へ
サイコパスだ何だと人格を否定され
挙句 人間扱いすらされずバケモノ認定
ただ好きなことをして 褒められ 喜んでほしいだけなのに

貧しい貧しい貧しい貧しい貧しい貧しい貧しい貧しい
生活も心も余裕などなくて ひたすらに貧しい 乏しい
何なんだこれは
何でこんな目に遭わなきゃいけないんだ
おかしくないか？　おかしいよな おかしいだろう なあ？

金銭を求めず 夢を追わず 何も求めず死ねってか
心療内科の先生は 清貧に生きろと薬を処方して下さった
駒や玉で遊ぶのは良くて 人の命を弄ぶのは駄目だと拒まれた
最大多数の最大幸福に僕の名はなく 独り泣く泣く 喉を切り裂く
鮮やかな赤に塗れるひと時だけ 全部忘れて 束の間の安息
生きる喜びを感じて 次の瞬間それら全てを喪失って また独り
排泄行為と一緒じゃ人に誇れることもなく
扉を開けた僕の顔を見て 行為を終えたことを知る それだけだ
深淵だけが知っている 救いはない 紙がなくとも助けてくれはしない
覗いているのは神じゃない
もういい
それでいい
それでもいいから見ててくれ
僕の犯行の一部始終を
マイノリティーな欲望を
吐き出すところを 叶えるところを
いずれ捕まるとしても 公然で罪を裁かれるとしても

オートチューンを利かせ過ぎて
どのラッパーとも同じに聴こえるような
集団に紛れて 平均的な他者と同一化しようとする
それは不眠症の見る白昼夢
コンクールでひとり音痴を晒しているのに
お前だけが自分を異常無しだと思い込んでいる

薬を飲んで忘れろよ 幻覚だ
特別視と異端視は違う
誰にも見られていないように見えて横目で警戒されている悪目立ち
特別秀でて嫌でも注目されてしまうのは彼だ
勉強もスポーツもできて人望も厚いイケメンは
誰に殺されることなく 今日も活き活きと生きている
愚者で白痴で最底辺で有象無象の吐き気を催す劣悪な僕は
いじめに遭って 今日も死にたいと引き篭っている
裏でどれだけ悪事を働こうが
公にならなければ 英雄は英雄で居られる
いずれ富も地位も名誉も名声も権力も夢も希望も最愛の人も手に入れて
いい人生だったと振り返り一生を終えるのが彼だとしたら
自分とは何だ？
何も齎さない 何も持ち合わせない
己の人生に何の意味がある？
薬が足りていないのか
また増やしてもらおうか
生産性のない悩みを抱えて
昨日も今日も明日も一生眠れない