結局この深く、ほの暗い、井戸のような底に そこには辿り着けなかった独り。月明かりの梯子に触れて発光するよう拡がる熱は気のせい、な、はずなのに空洞に倒れて転がった石コロのなんて、味気無い音を拾ったら何故か視界は滲んでふやけそうだった。
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