ホーム > 詩人の部屋 > フミヤの部屋 > ゴールの向こうに

フミヤの部屋


[1] ゴールの向こうに
詩人:フミヤ [投票][編集]

夢見る顔をなぶる風

見覚えがあるあの敵は

世界一のひったくり野郎

思い通り事故を起こすやつ
逃げるあいつに世界も回る
あいつは孤独だ、ボールと同様

もの言わず、もの思わず
ゴールの向こうにゴールなく

不運を嘆く暇もなく

走って、奪って、ぶつかって、けちらして、
返り打ち、回り道、だまし討ち

相手の包囲は厳しく、味方は遠い

もとよりオレには帰る所はない

失うモノすらない

ふくらはぎ、太もも、くるぶしにプルプルと伝わるこの感じ

空中の肉弾戦を制す翼

ドリブル一歩ごとに豹変し
捕まえてもそこにはいない
ゴールの向こうにゴールなく

敵も味方も錯乱し

不安、パニック、野次、怒号

英雄か、裏切り者かはそいつ次第

努力か、はたまた才能か

皇帝も将軍も哲学者もそうだったように

敵が奇跡を買収しようが

味方が悪夢や幻想に掴まされようが

オレは自分自身を忘れない。

肉弾の総力戦に挑む戦士達は

最後にママの名を叫び、神にひれ伏す

けれどもオレは魔女のベッドに勇んで転がりこむだろう。

勝ちつづける。さもなきゃ朝は来ない

未来もない

もの言わず、もの思わず

ゴールの向こうにゴールなく

2005/01/12 (Wed)

[前頁] [フミヤの部屋] [次頁]

- 詩人の部屋 -