詩人:しゅんすけ | [投票][編集] |
嵐の夜
耳を塞いだ手の拍動だけが響いた
そんな夜
悪魔と取引をした
売り渡したのは手首の縫い目
只の鼓動は
アマオトヲネジマゲル
怯えた目を隠すアイマスク
恐怖は衝動に
衝動は脅迫に
音をたてて変わる
薄い手が憎らしい
もう少し
チカラガアッタナラ
継ぎ接ぎだらけの縫いぐるみみたいな入れ物は
綿よりもずっと軽い魂にはちょうどいい
それなのに
手に入れた二枚目の舌は完璧な防壁を築く
脆い硝子玉を必死に守ろうと
完璧な防壁を築く
電波は腐り
やがては舞い戻る
守るための棘は
硝子玉を容赦なく叩き割った
最後に笑うのは
なにも知らない悪魔なんだろう