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しゅんすけの部屋


[429] 小さな駅の小さな食堂
詩人:しゅんすけ [投票][得票][編集]

昔々あるところに

それはそれは乱暴な少年がいました

少年の周りの人は口うるさくて

何かを言われる度に彼は悪さをしました

少年は気づきませんでした

その口うるさい人たちこそ

自分が大切にするべき人だという事に

ある時は

みんなを見返してやろうと旅に出て

国家権力のお世話になりました

またある時は

人間は自由だと

無責任に他人を傷つけました

そうして誰もが少年を相手にしなくなった頃

少年は騙されて大きな大きな借金を背負いました

少年は困りました

誰に助けを求めても

誰も助けてくれません

困り果てた少年は自ら命をたつ覚悟し

家に帰ることにしました

帰る途中見た景色は

どれもいい思い出はありません

誰にも会わずひっそりと旅だとうと思い

こっそりとうちに入りました

すると

うちの中からいい匂いがします

においにつられて奥へ進むと

なんと言うことでしょう

あの口うるさかった人たちが

涙を流しながら歓迎してくれるではありませんか

少年は何故だか泣いていました

涙が止まりませんでした


それから幾年か経ち

少年が住んでいた町の駅の片隅に

小さな食堂ができました


その食堂の最初のお客様は

もちろんあの口うるさい人たちです


その小さな駅の

小さな食堂には

今も

笑顔といい匂いが

いっぱいに詰まっていますとさ


めでたしめでたし

2012/06/14 (Thu)

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