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しゅんすけの部屋


[460] もののべ
詩人:しゅんすけ [投票][得票][編集]

この町にかつて映画館が五軒と風呂屋が八軒、銀行の出張所が三軒あったと父は言った。

私の幼なじみたちはみなここを離れ、都会に出て働くのが当たり前だと思っていた。

半分はその通りに生きているようだ。

残りの半分は帰ってくる。

今はこの町に映画館も風呂屋もない。銀行の出張所も一軒あるだけ。

誰もが想像するような自然と共に歩み続けた源風景などない。

そこにあるのは文明に憧れ、文明に忘れ去られた傲慢。

未練や哀愁や敗北感。

金に変えたプライドを擦り付ける老人。

無関心を装うよりも、正義感とプライバシーを棄てる方が簡単なのであればここは住みやすいのだろう。

ただどうしてもという方には、都会に住み、土地の歴史になど一部の興味ももたず、風景に勝手に感化される事を是非ともお勧めする。

2014/09/28 (Sun)

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