詩人:鰐句 蘭丸 | [投票][編集] |
俺は 健 友達はケンとかケーンと呼ぶ
現在は無職の18歳 最近は街をブラブラ歩くのが趣味
18歳のくせに毛深いし髭が濃かったりで今朝もシェーバーが一つ死んだ(笑)
しかし 毛深いにしても伸びるのも早いのか…頬に風をふわふわ感じるくらいだ…
歩き慣れてる街なんだけど 今日はいつもより街並の景色は高く感じられる
俺の視線が低いのかな…まさかな(笑)
それにしても 行き交う人間の視線が気になる 俺を見てる
みんなが
なんだよ
デジカメ向けられたよ タレントでも無いのに (笑)
でも 街の人間の目が笑って無い
俺の後ろをみんな 着いてくる
テレビ局の中継車までやって来た スタッフがバカでかいカメラを肩に担いで追いかけて来る
警官が動物捕獲用ネットを持ち出して来た
ヤバイ
逃げろ!
でも 俺が何をした???
何がなんだか分からないが 今は逃げなければ 捕まって何をされるか分からない事だけは はっきりしていた
今は逃げるんだ
俺は俺に言い聞かせていた
ガキの頃から逃げ足には自信があった
俺は奴等を どんどん引き離していく
どんどんどんどん
どんどんどんどん
その距離に 気持ちに余裕ができたのか
俺は ハッ と我にかえって愕然とした
!なんだって俺は足だけじゃなく左右の両手まで使って四本足の動物のように走ってるんだ?!
走りながら俺はこう叫んだつもりだった
「まるで犬みたいじゃないか!?」
でも どう聞いても俺のその言葉は俺の耳には
「う゛〜わんわんっ…」
としか 聞こえなかった
ミステリ作家 都筑道夫 に捧ぐ
2004 05 12