詩人:鰐句 蘭丸 | [投票][編集] |
その日 俺は営業していた
営業先でテレビを見せられ得体の知れない不安と衝撃に「なんですかこれ!いつですかこれ!」と営業どころではない事態に目はテレビに釘付けになった
この日 まだ営業先があったが正直 テレビの映像が頭の中を支配していた
そして 頭の中で枝分かれしていくようにこの非常事態に関連して起こるだろう様々な事を予想し 非常事態真っ只中の人たちのことを思った
同時に 自分がこの真っ只中の立場だったら…という心境を想像した
何日も想像を絶する事態の報道が続く
二次災害 震災が招く人災 政府の不手際 あらゆる日本の悪循環が曝されていく
時間が経つにつれ 助け合う 立ち上がる人々を讃える歌が聴こえはじめる
それでも それぞれの立場で温度差は埋まらない
俺も結局 真っ只中の人たちに何もできてないだろう
こうなるずっと前から続けてきたコンビニの募金箱にいつものように手持ちの小銭をいれるくらい
そのうち アナログテレビは見れなくなるだろう
そのうち日本の借金は達磨式に膨らむだろう
俺たちの税金も増やされるだろう
来月からNHKの受信料が口座から引き落とされる
この何年か集金に来なかったくせに
妻は子宮筋腫の術後半年目 まだ妊娠はしてはいけない
大雨だった梅雨
早すぎた梅雨明け
どうなってんのか戻り梅雨
そんなこんなを思い返しながら
爆発的噴火をした新燃岳の吹き上がるマグマを見た山道に車を停めて
今
窓を打つ雨粒を払う車のワイパーを眺めてる
今夜 息子の吹奏楽部の役員会があるなぁ
早く帰りたいな