ホーム > 詩人の部屋 > 鰐句 蘭丸の部屋 > ウリボー

鰐句 蘭丸の部屋


[348] ウリボー
詩人:鰐句 蘭丸 [投票][編集]

標高の高い牧場集落の狭い山道でのクルマの往来

白い四輪駆動の軽自動車に道を譲った

その先の道路の真ん中あたりにウリボーが横たわって痙攣していた

なんでまた…

横たわって痙攣しているウリボーに当たらないようにゆっくりその横を通り過ぎた

この道の先に仕事の予定があり ウリボーのことが気になりながら先を急いだ


仕事を済ませて またウリボーが横たわっている道にクルマを走らせる

ウリボーがまだ道の真ん中にいる

でも今は目を開けたまま動かなくなっていた

俺は前からも後ろからも他にクルマが来ないか確認してウリボーの横にクルマを停めた

ウリボーはやっぱり動かない

俺は道端に落ちていた頑丈そうな木の枝を見つけて その木の枝でウリボーを道端の草むらまで押してあげた

道の真ん中じゃ またクルマに上られてしまう


俺は思い出してた

ウリボーを見つける前に道を譲った四輪駆動の軽自動車を

動物だからか?

飼い主が居ない動物だからあの四輪駆動の軽自動車の奴はウリボーを跳ねてそのままにしたのか?

やり場の無いどうしようもない気持ちが胸と頭の中を支配した

俺はウリボーに「ごめんな」と声に出してつぶやいた

ウリボーを殺した同じ人間の俺がなんか嫌だった


ウリボーを後に 家に居る家族と飼い犬飼い猫のことを思った









2013/10/05 (Sat)

前頁] [鰐句 蘭丸の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -