詩人:ジョーブ | [投票][得票][編集] |
軋(きし)む音は彼の考える時間の始まりで
床から椅子が片面宙に浮く時に
一人の小人が彼に耳打ちをした
「これは錯覚じゃない真実だ。幻聴なんかじゃない真実だ」
そう聞こえたら、彼のまわりから不思議な色のもやが浮游しはじめた
怖いのは幽霊という存在を意識してしまう事
恐ろしいのは声から妄想が頭の中に飛び交い
信じてしまうこと
誰にも本当にちゃんと説明できなぐらいの不思議な世界になる時
彼は病がきたのだと信じ、落ち着き瞳を閉じる
机の引き出しから薬を一粒とり出して飲みほすと
小人は窓際に立ち
「また来るからな」
と呟いた
とてもとても小さな声で
病なのか、真実は声が聞こえる事はたしかで
それが普通なんじゃないかと思ったりもする
病なんだろう。他人の耳には聞こえない声がするから
正常じゃないのだろう
だから病なんだろう
似たような同じ体験をする方は居るのだろうか?
居たならば、一緒にいたらば同じ声がするのだろうか?
今宵も窓から知らない場所の風が入り
かすかに知らない場所の匂いがした様な