詩人:EASY | [投票][編集] |
自分の背中を追いかける
その為に僕は
酷く疲れた体を引きずりながら
家とは真逆の方向に歩き出す
それは丁度夕暮れ時で
それは丁度夕日の方角だ
これは偶然ではなく
必然でもなく
ただ単に
僕の背中を追いかけた結果だ
どんどん先へと歩く
帰りの体力や時間のこと
そもそもの意味など
色々なことが頭をよぎるが
とにかく
ひたすらに歩く
何れにしろ何をしようが
心配はつきものなのだから
心配はいらない
僕は僕にそう言い聞かせ
ただ、ただ
ひたすらに歩く
こんな風に
全てを捨てる様にして歩いていると
不安以上の解放感が
夕日と共に顔を出す
それでもやはり
僕が僕の背中に
辿り着くことはない
そのことに僕も
薄々気が付いている
でもひたすらに歩く
それが丁度夕暮れ時で
丁度夕日の方角であることを抜きにしても
僕は歩く
地球の自転が
夕日を消したと同時に僕は
自分じゃない方の自分に指を差し
我に帰る
この感覚は
綺麗な景色を眺めながら
感覚のないポケットに
財布の有無を確かめる
そんな様な感覚だ
僕はこの感覚を酷く嫌う
本当の自分である方の僕は
財布がなければいいとさえ思うのだ
そして夕日もまた
この様にして沈むのだ
だがそれでも
ひたすらに歩く
自分の背中を
誰かの背中と見間違えたりもしながら
ただひたすらに歩く
僕が僕の背中に追いつけないことには
密かに気づいている
それでもやはり
ひたすらに歩くのだ
これは宿命ではない
単に生きることであり
僕の背中を追いかけた結果だ