詩人:EASY | [投票][編集] |
誰もいない、空っぽな家
とても簡潔に、整理された
平安を基調とした、家だ
それは、小高い丘の上にあり
都心から、程よく離れた位置にあり
とても晴れた昼間には
何よりも完璧な
コントラストを漂わす
上流層の一般的な
ハッピーエンドが似合う家で
静止画のような光りの中に
佇む街にある家だ
各々の部屋には記憶があり
機能性があり
感情をくすぐる様な
懐かしさはあるが
サイボーグの様な冷たさと
忘れた夢の様な切なさがある
キッチンのまな板の上には
包丁があり
何かを切ろうとしていた
形跡だけがある
家に射し込む光りが、それを
スポットライトの様に
照らしていて
光りの儚さだけを
誇張している
二階に上がると
いくつかの部屋があり
窓はすべて開いている
小高い丘の上に吹く風は
カーテンを力いっぱい靡かせて
その日射しを
誰もいないこの家で
背中合わせの両端を
言葉にさせなくさせている