詩人:EASY | [投票][得票][編集] |
少し前に
チェスの世界チャンピオンが
コンピューターに負けたそうだ
将棋はチェスに似ているがそれよりは複雑で
アマのトップには勝てるが
プロのトップには敵わないらしい
でも
あと5年くらいすれば
互角以上に戦えるようになるというのが
コンピューター将棋で
打倒人間に励む人達の
一致した見解だ
以前
将棋のトップレベルのプロに
スーパーコンピューターで挑んで負けた人達が
とても悔しそうにしていたのを
テレビで見たことがある
コンピューターは
負けても悔しがらないけど
コンピューターを作った人間の方は
とても悔しそうにしていた
課題が見つかったので
次回はもっと頑張りたいと
彼は言っていた
勝った名人も
コンピューターの進歩に驚いていた
その光景はまるで
清々しいスポーツのようで
人間 VS コンピューター
ではなく
人間 VS 人間
のように見えた
コンピューターは悔しがらないけど
コンピューターを作った彼は悔しがっていた
彼はコンピューターで人間を超えようとしていたが
彼は悔しがっていたんだ
彼はコンピューターを作る
人間で
将棋を打つ人間と
同じ人間だと思えた
僕は
コンピューター将棋という分野と
人間の頭脳とコンピューターという
ほんの少しの対立を知って
以前テレビで見た
その光景を
興味深く想い出し
たとえば
超能力者 VS 科学者
みたいなバトルさえも
人として愛しく見えた
人間にしかできないことのひとつが
たとえば
芸術なら
それに点数や良い悪いがないからだろう
あるのは
感動や感情だ
人間にしかできないことのひとつが
たとえば
スポーツなら
嬉しかったり悔しかったりすることに
費やせた想いのことだ
向き合った時間のことだ
ギャンブル性のないゲームには
必ず必勝方が存在するというのは
数学で証明されていると
彼は悔しそうに言っていたが
そんな彼は
とても人間らしかった