詩人:鶉ック カロメリック | [投票][編集] |
お前の朗らかな声が
今も聞こえるような
気がして
お前はきっと
寝ているような
安らかな気持ちでいるように
僕には思えているのだ
僕は
お前がいたから
僕として生きられ
僕として死ぬこともできるだろう
お前だけでない
すべてすべてが
僕の生きた証となれた
だからお前はきっと
聞いているなら
聴こえている気がして
安心してくれ
僕は僕の苦しみでさえ
幸せで
何か砂粒みたいな
嘆きもないんだから
聴こえていよう
きっと
聴こえているだろう
安心しなよ
お前の知ってた僕は
お前さえ知らない
固い信念を得て
幸福の直道を行く
お前は一つも心配しなくていいのだ
僕は確かな道を
行けることを知った
お前はそこで
僕を待ってればいい
本でも読んで
待ってればいい
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朝焼けの紅には
この世は素晴らしいと錯覚させる
毒がある
菫のような色した雲は
伸びやかに配置されてる
冷たい宇宙の冷たさが
朝には含まれる
起きたくないのに
引き込まれ
バオバブはサタンの仕業だという
バオバブを知らない僕は
悪魔の恐ろしさを
知らぬということだ
僕の知らない朝に
悪魔は人を苦しめる
悪魔は単一でないという
バオバブを見
知り
サタンの所業に触れた者が
悪であるなどと
人間を知らない学者や
君らは決めつける
サタンは余所に見るものでない
バオバブに影が映る
お前と僕の中にある
無意識のどこかへんに
お前と僕は
サタンであり
それは単一でなく
そして
戦いは意味を為す
無垢は
純粋は
そこには善も悪もない
慈愛とサタンが僕なのだ
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旋毛が巻き巻き
風ぶんぶ
爬虫のうねりも
朝ぼらけ
冷たき朝に
冷たき朝
日の熱波がそれを突く
学童の騒がしいさまは
明るく
悪を忘れてしまう
悪を
忘れては
朝に匂い起つ
焼き麦
一日の始まり
忘れたくなる
一日の
はじまり
旋毛よ舞え舞え
朝露弾け
子等の歓声が
朝を思い出させる
幸せだった朝
終わりゆく今日に
始まることは
全て忘れることで
悪だって
悪までも
悪よ
朝にはその姿を透明にして
夜にはその身を漆色にして
風よ吹け吹け
逆旋毛
羽衣までも
去んでまえ
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ほんのみじかい
あさに
れつれつたる
ねついが
このばに
ことばとして
きざまれ
ねどこから
はいはい
むすめがおきる
ぱぱぱぱと
だきついてくる
おれはせをむけ
ことばをきざむ
おれのねついは
ぱぱぱぱとよぶちいさなしろいてでは
さえぎられんのだ
だからみじかいあさを
おれはにくむ
あさがむげんにあれば
やさしくもあれるのに
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どこか遠くへ
飛んでいけ
優しい自分よ
嘘つきだった自分よ
目的なくした若さよ
憂いよ
もう単語に縛られず
愛を愛と呼べばいい
愚かで幼い願望は
叶わぬと知ってなお
きっときっとと
言えばいい
(飛べってよう)
(飛べよ早く)
暗さ覚悟で目覚めた四時に
隠れろ隠せ
気味の悪い愛の歌
拙さで隠す
欲の歌
嘘の歌を
不実の歌を
抗えぬ血の歌を
抵抗の牙を押し流す
今と名付けられた時勢には
お前のような者らが
大腕振って闊歩し
本質に目を塞ぐ
媚びるよなあどけなさを許すな
生きるための自由を汚すな
声を上げ続けて
叫べ叫べと
俺へ祈る
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どこから行けば
いいのだろう
だって
ここは知らない
けどでも
ぼくはぼくの生きたことの大半を
知っているから
さんざ人に見せてきた
みじめさや
あわれさや
愛といったきざなことも
本来
不要だったんだって
知って
そうして今
ぼくはここにいる
会いたい人に
会わないことも
夢をかたちにするという
かっこうばかりのうそも
人を
優しさで手なずけ
キッスが嫌いなくせに
笑顔でおこない
ああこれはなんという
人間というものの
無価値なカスみたいな
そんな言葉らだ
ぼくのはじまりは
ここなのか
はじまりは
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循環しているリズム
変革を起こす夜明け
ただそれだけの
朝
温度も大気も生命も
統括した
目覚めよ者ども
闇を振り払えと
力の象徴を掲げる
朝
法はリズムなり
命が則するものなり
朝の幸福に一人
酔いしれ
歌に似た詩を
思い出す
雨雲は途切れた
日は全てを照らし始めた
風は部屋を通り抜けた
私の全ては循環している
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ふろにつかって
ぼうすいけいたいで
しがかける
おくれる
のじだい
ぼくは
おそくなったしごとの
みかえりを
ひとりでつかるふろに
きめた
よるに
ぼくはかんがえることが
できるのだ
ああもはや
どのひともが
ゆうじんにおもえる
よるのじんしゅは
ひとりランドリーの
おとによいしれ
たばこをすって
コーヒーをのむのだ
よじにもなれば
よるがおわってくる
たったひとりの
そぼくなよるが
おわってしまう
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タンポポの綿毛を
見つけては
駆け出し
おそるおそる
用水路の縁に
近づく
ねえこれは
私のだよ
でもパパがふうって
やってよ
俺は大人げなく
めいいっぱい
息をかけた
茎が一瞬
くねりもしたが
三分は残った
すごいすごい
綿毛飛んでるね
あパパのほっぺた
ふたつついてる
俺はさっきの一息が
自信のこもった
そのつもりが
一瞬ですべてが
はじける様で
子はそれに歓声をあげるはずが
あまり関心ないようだ
あパパまた
タンポポの綿毛あるよ
あこれは
パパがやって
これはわたし
子は片足を前に
ふうとして
向かい風のおかげで
お前の頭にも
ふたつみっつ
ついてるぞ
タンポポは
俺の子にちぎられて
自分の子を蒔く
お前らの
作戦勝ちだ
俺は子の楽しみに
弱いから
俺もお前らを
引きちぎって
お前らの子を広げよう
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もうやだと
俺のいしきが
言った
過去の楽しみだった
創作の人と
創作人の俺
かかわりあい
つぶやき
表の社会と
裏がわの社会と
どっちでもない社会
やめたり
休んだり
サヨナラして
あああって
悲しくなって
忙しさによって
過去を置きざって
楽しみを
置きざって
しまった
俺は しあわせ かい
おまえさんは しあわせで いたのかい
もひとりの おまえさんも
あの社会をちょっとばかし
置きざったようだね
俺はおまえさんらと
久方ぶりに
話したいと願う
いわゆる談義だね
詩の
談義というやつだ
俺はね
始まりは
作ることが好きだったが
今は
触れてもらえた喜びが
その幾倍にも価値があり
それを楽しみと
称して
それを
置きざってしまい
ひとり
俺は
いや
きっと
おまえさんもだろう
俺は
俺と名乗る俺は
俺の血を置きざって
ひどくつまらぬ時
嘘の叫びをあげる
「元気か」と
いや
もうよそう
もうやだろ