詩人:鶉ック カロメリック | [投票][編集] |
誰に贈るか
この愛を
高望みした
初恋も
遠く届かぬ
憧れも
なれなかった
恋人も
近くて遠い
思春期も
華とならない
思い出も
あの懐かしい
赤髪も
一度だけ見た
泣き顔も
初めて声を
かけたひと
世に背を向けた
若き君
騙しきれずに
去った君
よせて返す
情の波
彼に届くか
この歌を
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ただあることを
綴るなら
こんなに容易いことは
ない
今のおもいを
綴るなら
分類される
「詩」な訳で
技術の粋を
綴るなら
表紙が変わる
マニュアルで
やけくその情を
綴るなら
荒野に残る
炭もなし
なんのために
綴るかで
創作は時に希望と成り
パンと血肉と成り
或いは
凶器と成り
兵器と成り
さあ戦士は
いかばかり
末世は永久に続くもの
輪廻をぐるりと
撫でる影
光明あてんと
願う也
戦え
世に羽ばたけ
無敗の王よ
より高く
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あなたにおくる
ゆいいつのことば
がんばれ
がんばれ
あのころあなたは
まだみらいをしらず
ただ無形の
きぼうだけをもって
がんばれ
ずっと
がんばれ
あのころのあなたに
ほめられるよう
いまもあたしは
がんばっている
あのころのあなたが
めざせるよう
いまあたしは
がんばっている
まだだ
まだまだだ
あなたににた
あのひとも
きぼうから
はじまれるように
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なんかね
すごくうれしいんだ
レトリックを使わない
ことばをえらばない
そのままが
いやぼくは
レトリック大好きだ
それは変わらない
ただ今は
ほんのわずかな時間で
詩に戻れることが
たまらなく
うれしい
以前の詩ともだちが
知れば
きっとその人も
喜んでくれるだろう
ぼくは今うれしい
ほんとただそれだけが
伝えたいことだから
たったそれだけで
まんぞくなんです
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もうおまえは
いないのだ
うすぐもりの
けむりのなかを
かいてかいて
てさぐりの
じんせいの
おまえはもう
いないのだ
ともとよべぬ
ひとをつれ
ひきつれ
なだめ
わらわせ
それでなお
しあわせもとめて
はたらきはたらき
わすれわすれの
おまえは
いないのだ
きょうのよるに
ほしになったのだ
永久にかがやく星
おまえのこころは
もうひとつの
こころをつれて
あのくらいそらに
いってしまった
かえしてくれよ
かえしてよ
でもぼくは
おとなになったのだから
つめたいふゆも
ひとりのあさも
そのひとつひとつに
うちゅうというなの
こすもすのはなを
かんじるから
それは
かんきであるから
もう
こわくはないはずだ
みてくれよ
いないおまえよ
がんばってるぼくを
ほめてくれよ
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ひどいもんかも
しれないね
くりかえしくりかえしの
えんぎは
すきでもきらいでもなくて
ときに
ああ ああと
ないてみたり
気持ちのほんとを
さぐってみたり
おまえを
ためしたり
ひとは
ひどくひどいように
できてて
ひとは
あかるさくらさに
むりやりのいみしか
おもいつきたくないと
いつもそんなふうで
とてもひどくできてる
ぼくの
おそるおそる踏みだした半歩も
それはたとえれば
ひとを傷つけることと同じなほどに
無益だとしった
今夜ぼくはしった
どんなひとも
詩は希望か絶望しか
綴れない
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このごめんなさいは
これで何度目でしょう
今から言うごめんなさいは
あなたで何人目でしょう
あなたのことが
大事だということを
他の何かと
比べられるはずないのに
比べちゃって
自分のことを間違えてるって
考えちゃって
だからいつも
あやまって
そのあやまる態度を
あなたにしてしまって
ごめんなさい
ごめんのループです
行き着くことない
言葉です
排泄みたいな
言葉です
そして
愚かな言葉です
でも僕らは
人間なので
止めることが
できないのです
ごめんなさい
ごめんなさいと
くりかえし
言っちゃうのです
そして
大した反省も
しないまま
申し訳ない心を
忘れてしまうのです
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捨ててしまえ
全部捨ててしまえ
おまえの中にくすぶる
多少の誉や悦楽も
才能も
夢もみんな
全部だ
一瞬のうちに閃く
雑多な記号のような
ことばも
おまえの心のすべてを
ひとつだけ残すなら
捨てる覚悟の折りに
おまえは
おまえ自身を打ち
金切り声で
目で見えぬ痛みと
共に生きる苦しさを
ずっと
自己のもうひとりの
あきらめの視線を意識しながら
ずっと
時には
あふれながら
ずっと
おまえは
ひとりで
生きていく
一つの支えしかない
喜びと苦痛は
もはや言葉では
あらわせない
おまえの中で
ありとあらゆる物を
苦痛と共に捨てることと
拾うことを繰り返して
おまえの中に
最後に
残ったものが
詩ではないんだという
真実
詩ではないんだ
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おれのこのきもちを
どうやれば
あらわせるのか
見えるなら
朝焼けの
林の
誰もいない
未舗装路のような
老衰の一日一日
言葉少なき連れ合いの
慈愛と寂しさの混ざった
顔と顔
壊れた乗り物
明日を知れぬ一歩
何のためにと
考え考えて
今は
その仕草ひとつひとつが
その答えであり
そうして
それは新たな提議だということ
ああ
という声こそが
おれのすべてで
あとは解読を待つだけ
戦いは外の激しさにのみあらず
心中深く
真実をみつけるのも
そうなんだろう
おまえは
ひとりしかいない
そんなところで
いったいなにに
ほえることになるか
勇ましさは
人への武器で
人がないなら
いらない
ああ
やはり
おれはおれをこえておらず
そうして
おれの日々を
真実の闘志は
なんの戦いというのだろう
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ひさびさの
やみは
おまえのかわらぬ
ちじょくの
あらわれよと
ひさびさとおもわせ
おれをまた
あきらめと
まんせいに
ひたらしこめ
やみよ
こよいのやみよ
おまえはせまい
ただのくうかんでしかないというのに
このおれに
はばたきはじめた
おれに
かげをかんじさせるんだな
あのかげを
ぶきみな
ひきょうな
あのみにくいものを
これがおまえなんだと
せめたてる
共依存の関係さえも
こよいはあらわれない
くらい
くらい
へやだった