詩人:ニキ | [投票][得票][編集] |
皮ふの感触だけで遊ぶ
単純な線でできた手はおもちゃみたいだ、って
ふれて、さする
言葉を出すときに、
くしゃくしゃにからまった糸が、一緒にのどから出ている気がする
ずっと、のどがいがいがしている
あ、とか、い、う、とか、かたまって意味を持つ以前の音が、ばらばら、上半身の中を跳ねてる、ピンボールみたい
さんはん器官に当たると、ぐらっ として、すこし気分が悪くなる
外にこぼしていく過程で黒くなっていく言葉
ごめんね
よごれているわけじゃない、ただ、糸がからまっている
糸をぜんぶぜんぶ裁ち切ったらどうなる
そこに、からまれて、包まれているはずだ、って信じている、ほんとうの言葉は、
本当にあるの
そこにあるものって、ただのあ、とか、い、う、とか、意味をもたないものだけなのかもしれない
ああのどがかわいた
こぼして、ここに形としてとどまっている言葉
からまっている糸をぷつぷつ切っていく
そこにあったはずの、こぼしたものは、たちまち消えてしまう
静かに水を飲んでから、ふれて、さすって
皮ふの感触だけで遊んでよ
やわらかい手をにぎって、つかの間、静けさをとりもどして、
眠りたい