詩人:黒い犬 | [投票][編集] |
暗雲立ち込める空に手を伸ばす
空を狭く感じる
ぽつり ぽつり
生ぬるい音が聞こえる
嫌な天気だ
全てを創造する心よ
私は誰に創られたのか?
この雨は誰に降らされているのか?
教えてくれ 答えてくれ
流れる雨はまた空に戻り
この10月の空を覆うのだろう
低く垂れ込める空よ
いっそ地上を覆い 全てを空へ返してくれ
ただ私はこの場所に留まり
降りしきる雨を感じている
それは無を感じる行為では無い
ただ暗雲を見つめ
今を生きる
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双頭の犬 視線は全てを焼き
吐く息は全てを腐敗させた
鋭い感覚 研ぎ澄まし 全て壊した
都渦巻く淀みを嫌い
善悪問わず暴れ続けた
気づけば荒野に佇み 初めて孤独を覚える
わかっている
だが どうしようもない心の叫びを押さえられない
わかっている
わかっている
あぁ どうしようもない枯渇が生まれる
誰か彼に愛を教えてあげてくれ
揺るぎない 無くならない愛を
誰か彼に 優しさをあげてくれないか
つかれた心を癒す 本当の優しさを
荒れた荒野の双頭の犬
夜空を見上げる なんて孤独なんだ
どうしようもない心の虚しさが
どうしようもない焦りが生まれて
誰か彼に愛を教えてあげてくれ
孤独を忘れさせてくれ
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深く睡眠をむさぼる僕は
言葉の海に溺れる魚
体中に書かれた言葉の傷
均衡を保てず溺れる魚
誰か気付いて下さい
存在に気付いて下さい
自己証明が下手な人に
心無い言葉で燃やされた心は
灰になり消えてゆきました
貴方は気付いている
見てみぬふりは・・・
深く潜る深く深く
どこまでも続く言葉の海
僕は魚
体に言葉の傷をつけながら
何処までも泳いでゆく
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不安な風景
心を刻む
灰色の町並み
懐かしさを覚える
無くした写真に いなくなった飼い犬
わからない事は心の奥に隠した
そうやって ひねくれた少年は大人になった
いつか無くしてしまうだろう 壊れてしまうだろう
心を 心を
記憶の中の途切れた灰色の風景
もう何処にも無い
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背広を着た豚が叫んだ
昼に何を食べたんだ?
家畜の如き振る舞い見るに堪えず
蠍の毒で可笑しくなってしまった
吐きたくなる笑顔を見せる下衆の群れ
隻眼の鴉は言う
阿呆共はなぜ鳴くんだ?
背広を着た豚が叫んだ
御飯はまだかな?
汚物まみれの姿形
気付かず愛想を振りまく
隻眼の鴉は言う
全て燃え尽きてしまえ
遠方の国より来る
赤の炎 燃えたり 嵐の如く
燃えてしまえ全て
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犬の首を塀に並べた少年は
得意げに笑った
狂った道化の目を見つめ
また笑った
黙れよ 偽善者 黙れよ
好きな子は あの森の奥にいる
木製の檻の中で 狂うの待ってる 僕を待ってる
正しいふりをした目で見るな
森が泣いた
僕が泣いた
あの子が泣いた
でも誰も聞こえないふり
だって石だから
みんな石だから
ねぇ何がおかしいの?
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割れた窓の様な 君の世界
沈んでいけたら良いな
だってそうでしょ
世界はこんなにも暗い
目覚めたらまた夢が始まって
ずっと夢の世界で良いのに
僕はもう歩けないけど
君の世界へ堕ちていけたら幸せだね
割れた窓の様な 君の世界へ
白い大地と白い入り口の無い建物
それと君がいれば
それだけで幸せだね
僕は間違ってたよ
だからこれで良いんだ
歩けなくて良いんだ
堕ちて行きたい
君の割れた窓の様な 世界へ
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内緒話しをする案山子
人間が嫌いらしい
悪巧みをする雀
人間の舌を切りたいらしい
踏み切りを渡る 鬼の面を付けた子供
ゆっくり振り返って
闇 不覚 深く
その深淵に何を見る
訪れる魔の刻
笑う伸びた影 濃くなる影
闇 深く 気付いた
己の弱さ 人の温もりの懐かしさ
闇 嗤う 耳塞ぐ
緩やかに狂う 閉ざされた先へ
望み塗りつぶされ 手探りで
歩く 目の前の闇へ
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ある晴れた月の見える日
遠くの故郷を想い出しました
だけど脳裏に浮かぶのは
想い出したくない記憶ばかり
気が遠く遠く
僕を見る素顔を失くした君と
気狂わせた彼が描いた猫の目が
僕を責め続け
だんだん空が小さくなる
それを気付かないふりする先生
空に浮かぶ半分の月が
皮肉に嗤う
誰も気付かない 誰も見ようとしない
僕を見る素顔を失くした君と
崩れてゆく仮面の猫が
僕を見つめ続け
もう誰も気付かなくて良い
歪み嗤う半面の月が
だんだん遠くなる故郷を
だんだん小さくなる空を
想い出させた
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何処までも続く 枯れ木
破滅の色彩
殺伐とした景色
石を積む子供 鬼面つけて 霞む
砂上の犬 もう動かない
目は何もみていない 目は何も見ていない
川はやがて蛇行し 何処へ行くのか
消えていく空
乾いた風
何て悲惨なんだ
消えていく空
乾いた風 水面が揺れて