詩人:ハト | [投票][得票][編集] |
あの日見上げた茜空
夕焼け色のエンドロール
きれいと誰かが呟いた
きれいなもんか、私は、
もっときれいなものを知ってる
細切れの窓から見える
曇り空の隙間からこぼれる
光はあいつの
居場所を示してるんだ
そうに決まっている
そうでなくては、困る
こうして
ほつれ始めた
未定ばかりの毎日でも
それなりに続いてゆくもので
持ち上げてくぐったロープ
黒と黄色は警告の色
私達は何かを侵したか
どちらがあっちで
どちらがこっちなの
何をやっても
間違いに繋がる
あれがきっと境界線だった
暮れてゆく茜空
あいつが空を染めたのか
空があいつを染めたのか
見え始めた星と星つないで
ありもしない星座を作る
つけるのはあんたの名前
いつもそうだよ
きれいと呟いた誰かも
もうお家へ帰る時間だよ
そうさ
本当にきれいなものは
目に触れてはいけないから
またねぇ、と
振り上げられた手に
私の延びた影がくっついて
殴られたようだよ
きれいなもんか、私は、
本当にきれいなものを知ってる
夕焼け色のエンドロール
エンドクレジット
あれは昇ってるのか
視界いっぱい夜色の
真ん中に踊り出すのは
エンドマークではなく
あんたの笑顔であってほしい