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ハトの部屋


[30] 成長
詩人:ハト [投票][編集]

雑草と選り分けたあの日の
小さなコスモスの芽は今
こんなにも逞しく伸び

あれは確かまだ寒い時期の
誰もがその先に不安を感じ
曇り空の下黙々と
むしった草は山ほどに

その雲の上は
青空何てことに
想いをはせる余裕もなく

懐かしむモラトリアム
黙々と
山ほどに

あれからまた
冬に向かおうとしています
この秋は
誰のモラトリアムなのか

水をやります
黙々と

分かれていく茎や葉や
私からは見えない根っこ
あの日曇っていた空は
今日は穏やかに鱗雲を浮かべて

忙しいながらも私は
ちゃんと生きています
あのコスモスのようにすぐには
空には近付けはしませんが

あの日黙々と
選り分けた未来の
その先はまだ
分からずにいますけれど

青空に混じる夕焼けを
素直にきれいだと
言えるようになりましたよ

あのモラトリアム

もうすぐコスモスの花が咲きます
何色かはまだ知りません

今はただ黙々と水をやります

もうすぐコスモスの花が咲きます
コスモスの茂みに
ベニシジミが舞っています
冬までのモラトリアム
やって来る秋を待っています

2006/08/29 (Tue)

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