生け垣や塀の隙間やあなたの指先から覗くのは彼岸今年は秋が来るのが早くて前栽のもみじが早くもあれもそうね彼岸の色私の中指とあなたの中指の間沈黙は饒舌ですが何とも苦く何とも不味く今年は飽きが来るのが早くあなたの指先から覗くのは悲願冷たい雨のカーテンが私たちを仕切って見えなくしてしまう何もかも何もかもをです生け垣や塀の隙間やあなたの指先から覗くのは彼岸赤く染まる視界の角あなたが苦く笑うのが見えた
[前頁] [ハトの部屋] [次頁]