詩人:椎名華奈 | [投票][編集] |
今朝起きたら、
ベッドが赤くなっていた。
列車に乗り込む
沢山の異国の人々
それから動物達
この列車はどこへ向かうんだろう
急行列車
しばらくは降りられないということだ
列車の中の人々の顔を見回してみるけれど、
この中の誰一人として
僕のベッドが赤くなってしまったことは知らないんだ。
僕は、そのことを教えてあげたくて仕方がない。
でも、自分のベッドが血で赤く染まっているだなんてことを、人に言うのは、ルールに反するわけだ。
みんな知らない。
僕のうちの冷凍庫に隠してあるバニラアイスのことや、
机の上の電気スタンドのネジが、一つ外れてどこかへ行ってしまったこととか、そういうことを。