詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
月のひかりは
黄金めいて降りそそぐ
それは
太陽なくして
成り立たないことだけれど
うそぶき加減が身に優しくて
わたしはつかのま
あしたの重みを
脱ぎ捨てる
思えばずっと
ほんものを願ってきたけれど
にせものになる方法を
頼ったことは無い
不純でも
研ぎ澄まされたものならば
誰がたやすく超えられようか
月のひかりの黄金も
常世にそそぐ
真実であろう
中天で
偽らざる頂が輝いている
幻とは
旅にやぶれた亡者のことば
わたしのあしたは
透けてはいるが
消えてはいない
それゆえ今夜も
月を服する
聡明な
癒しの剣を
しずかに
深く