詩人:千波 一也 | [投票][得票][編集] |
すっかり消えて
しまった
あとに、
思い知らされる
こころ細さがある
あれは
たいせつな
灯りであった、と
ちいさく震える
夜がある
通りには
風があふれていて
それゆえ無風、と
思い違えて
ひとは
寒さを語ることばに
長けてゆく
ひとり、
ちいさな灯りに笑んで
季節のめぐる
理由について、
わすれてしまうのは
しかたのないこと
だけど、
それは
じょうずに
迎えにくるから
ひとは
まもり、を
愛してやまない
やさしくなれない
日々だとしても
聴き続けている
うたがある
いいうたね、って
誰でも
いつでも
来られるように
閉じない扉を
きしませながら
ひとり、
客間をあたためて
あきらめたら、
きっと
知らないことが
ひとつ減る
けれど、
それを
喜びとは呼ばないことを
だれもが知っている
夜を、
終わるはずのない
夜を
すべての
暗がりを
見つめすぎてはならない
うしなっても
ならない
だから、
ちいさく
ちいさく揺れよう
灯りを
もって
みんな、
つながって