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千波 一也の部屋


[1077] 言葉の日々
詩人:千波 一也 [投票][得票][編集]


もう、使わない言葉なら
勇気をもってさ
捨てましょ
ぽいって

昔はよく使ったんだけどな
なんて感傷にひたって
夕日のなかで微笑んで
捨ててしまいましょ





使った言葉は
きちんともとの場所に
戻しましょう

使うだけ使って
あと始末はひと任せなんて
いい歳をして
することじゃない






しばらく会ってないけど
あのお言葉さん
元気かしらね

せめて
どこのどなたのお宅に
ご厄介になっているのか
わかればいいんだけど





あの子がね
その言葉のこと
ずいぶん前から欲しがってたのよ

そろそろ譲ってあげたらどうかしら
捨てるわけじゃないんだもの
あの子がきっと
大事にしてくれるから
おさがりってことで
どうかしら





ところで、あなた
期限は確かめたかしら

賞味か
消費か
しらないけどさ
永久にもてる言葉なんて
ないんだから
どこにも





ほこりが溜まれば
パタパタしてさ

泥がついたら
ジャブジャブしてさ

わたしのためにすることは
言葉のためでもあると思う






ふるい
段ボールを開けたら
出てくるかもね

おもわずポッて
染まっちゃうような
けれどいとしい
ひみつの言葉が





ながく
ながく使っていたいなら
お手入れしましょ

疎遠すぎてはいけないわ
中毒じみても困るけど
じょうずな距離を
覚えるためにも
お手入れしましょ
言葉の
日々




2011/09/05 (Mon)

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