詩人:千波 一也 | [投票][得票][編集] |
くもらぬ声で
ささやく物語が、愛
結末は
かなしくても
信じるしかなかった
瞬きの間が、愛
傷んだものは
そのままにしておくことが、愛
差しのべる手も、愛
叫ぼうとして
踏みとどまった後悔が、愛
伝わらなくて
にぎりしめた川風が、愛
星の名を
おぼえようとする瞳が、愛
星を見ていない
その目も、
愛
雨上がりの虹を架けるものが、愛
消し去るものも、愛
一から獣へ
獣から策へ
策から縁へ
縁から万へ
指おり
数えることの
よろこびが、
愛
数えたところで
無に帰る水面も、愛
ひとの光の
やわらかさが、愛
目をつむりたくなる
まぶしさも、愛
引き継がれてゆく
お荷物が、愛
失うことの
おそろしさが、愛
涙の奥の
なみおとが、愛
それを
描いたり
描ききれなかったりする
指さきも、愛
いつの日にか
が、愛
いつのまにか
も、
愛