詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
遠く、
海を呼ぶ声が
かさなり合って
海からの声は、もう
ちいさくなった
探せないものはみんな
いつかきれいに
空からくだる
たやすくは
気づけないかたちで
空から降る
浅く、
ひざまずいた地面から
風を見送る風が
ゆくのを
そっと、
手放すための
風が吹く
上手に捨てる
すべなどないから
みんな、染みて
深みをさけて
深みにはまって
聡明に、空に焦がれる
それはそれは
透明なかたちに
凪いで
廃墟へ還れ
時を生まれる旅人よ
おそろしい波の心臓に
ただよう波のやさしさが
最もおそろしい
ならば、まだ、
声で良いのかもしれない
はかなげでも
あやうげでも
無数に群れた途上の夢の
水で良いのかも
しれない
しずかに、にぎわう
しずくの
寄る辺
は