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千波 一也の部屋


[1140] 蜃気楼
詩人:千波 一也 [投票][編集]


蜃気楼、と名のつく国へ

ゆびさきに力を込めて

風をおくる


かろやかに静止する

すべてのリズムは雨に流れて

つい、空を見上げる


何もないということが

両手のうえに確かにあって、

乾かぬように私は尚更

遠くを見つめる


約束、と名のつく偽りごとに

やさしい舟が今宵も浮かんで

誰かが何かが

近くなる


確かめるすべなら、もう

あしたの向こうへ発ったから

ちいさな一途に

ひとり、笑む



2012/08/09 (Thu)

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