詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
陽光のまぶしさに
水の記憶はよみがえる
ゆらり、と立ち上がるそれは
わたしの肌へと染みるから
懐かしい匂い、という名の
許容がまたひとつ
こぼれ落ちる
おもいでを語れば
必ず虚偽が生まれるけれど
よほどのことがない限り
誰にもそれは裁かれない
そして、互い違いに
向こう岸を見る
そこに至れない
自分を見る
高まる熱は
低いほうへ、低いほうへと流れて
きょうも方々に風が渡ってゆく
当然わたしもその内に在り
外を向いては思いを馳せて
透明な風に置いていかれる
懐かしい言葉、の数だけ
いたまずに済むものと
そっと信じて
空に抱かれて