なにも視なくて良いのならなにも視ないでおくが良いなにも聞かずに済むのならなにも聞かずにおくが良い常世をわたる夜の舟には信じた過日が乗っているにわかには信じがたい姿で時々向こうを許してみせる 洗い流したはずの鱗粉に うずもれている呼吸を 見出せ、はやく落ちてゆくのものぼってゆくのもとらわれのない従順な途からまる糸が淡く通過を始めたら夜はまっすぐ影になる隠れようのない炎と水が時間を結ぶ
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