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千波 一也の部屋


[1179] 常夜灯
詩人:千波 一也 [投票][編集]


なにも

視なくて良いのなら

なにも視ないで

おくが良い


なにも

聞かずに済むのなら

なにも聞かずに

おくが良い



常世をわたる夜の舟には

信じた過日が乗っている

にわかには

信じがたい姿で

時々向こうを許して

みせる




 洗い流したはずの鱗粉に

 うずもれている呼吸を

 見出せ、はやく




落ちてゆくのも

のぼってゆくのも

とらわれのない

従順な途


からまる糸が

淡く通過を始めたら

夜はまっすぐ

影になる


隠れようのない

炎と水が

時間を

結ぶ




2012/11/23 (Fri)

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