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千波 一也の部屋


[1265] 伝書鳩
詩人:千波 一也 [投票][編集]


うつくしく帰れ、と
はかない願いを込めた
ささやかな窓辺は
永遠に失われない

ただし、代償はある

例えばそれは
老いる瞳

例えばそれは
老いる瞳の中の
いつわらざる面影

例えばそれは
老いる瞳の外にしか
生まれられない温度たち


信じた末の迷いの空を
一直線に雲がゆく

だれにも
剥ぎ取れない
剥ぎ取るべきではない
やわらかな羽が
永続の輪を
なぞり
ゆく



2014/03/16 (Sun)

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