ようやく二本足で歩きはじめた我が子が草はらで不意にしゃがみこみ石ころや小枝を見つめているあるいは石ころや小枝のほうから見つめてきたのだろうか何かに染まりすぎた大人には解せないやわらかで唐突な音声をもって我が子は語りはじめる砂つぶにも落ち葉にも向こうの水にも風向きにも我が子は語りはじめる至極神秘に真摯に無限と対峙して我が子は宇宙とつながっている
[前頁] [千波 一也の部屋] [次頁]