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千波 一也の部屋


[627] 見たことのない海
詩人:千波 一也 [投票][編集]


水は途絶えを忘れる薬


波を待ち望む青年や

イルカを愛する少女の瞳

波うち際に揺れる小舟や

小高く揺れる果樹の枝



彼ら

彼女らの

その目の海は

わたしには見えない

けれど

水は途絶えを知らないゆえに

わたしはその海を

知っているのだ



見たことのない海は

幾らでもある

なんとも絶望的なその裏に

知っている海もまた

幾らでもある



クルスの形に腕を組み

船頭のいないゴンドラで独り

こころを運ぶ波を迎える


水に生まれた者として


2006/09/09 (Sat)

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