詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
いつものように
午後をあらいながら
うつむき加減に 軽く
雲行きを確かめる
それもまた いつもの事だけれど
その
始まりの日を憶えていない
寒暖の差を道として 風は渡る
よろこびと かなしみとが
偏りなく在ればいい
流れ過ぎるものたちの 透けているわけが
寒暖の差の
一色ではない事を
示すものであればいい
昔、
いたみは容易だった
泣いても泣かなくても 済むような
いたみは容易だった
けれど今、
忘れる事に慣れた目に
あわせ鏡は 無限に歪んでゆく
停まっているのかも知れない
祈りと
願いと
たくさんの方角に向かって
停まっているのかも知れない
終わりを厭いながら
それでもなお
転がって