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千波 一也の部屋


[668] 祈りを土に
詩人:千波 一也 [投票][編集]


祈りを土に捧げましょう


記憶は

ひと知れず育ってゆきますから

たくさんの道で迷えるように

そのぶんしっかり

戻れるように



空を翔ける翼のない者たちは

すべての責任を

空に負わせる夢に焦がれます

けれどもそれは

はじめから

悲恋でありますので

この手と足と

ほどよく疎遠な土にこそ

日記を預けてみませんか



気が向いたならいつだって

四季の温度をすぐそこに

かよわい手のひらで

確かめることがかなうように

過ぎ去った総ては

思いのほかに思うがまま、です



祈りを土に捧げましょう


空ではなく

星ではなく

海でもなく

時計はもっと身近なところへ



ひと知れず育ちゆくものを

ひと知れず守りゆくため

祈りを土に捧げましょう


2006/09/12 (Tue)

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