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千波 一也の部屋


[703] 機械技師
詩人:千波 一也 [投票][編集]


よごれはきらいです


油のにおいの

染みついたシャツには

笑顔があって

すすまみれの顔は

両腕を

あたたかく広げて

傷のある腕にも

だれかのための名前があって


余程のことがないかぎり

よごれなど見つかりません

そのまま

絶えればいいと思います

よごれはきらいです


不器用な人間は

気の毒なくらいに

器用になってしまいました

そんなことにも

気づかぬほどですから

周りはすべて

部品であることも

人間にとって

部品は異物であることも

気づきません


既知はいつも未来です

人間はみな少年少女です

秘密の

基地はいつも未来で

よごれは

よごれと呼ばれぬままに


動いてゆきましょう

動かしてゆきましょう

精密で大層な

ひとつのきずなに

いだかれながら

たとえば

そう

あの月面まで


2006/11/27 (Mon)

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