詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
ひとつの想いが報われた日に
この手は
またすこし
小さくなった
それは
悲しみではなくて
ひとの非力さが
尚いとおしく感じられた、と
そういうこと
涙がなければ笑顔はない
約束がなければ
傷はない
たとえば誰かが
たやすく語ることの総てを
もう一度はじめから
確かめたいと思った
大げさではなく
つまらなくもなく
この手に
負ったぶんだけはただ確かに
えらぶことに慣れたつもりで
疲れ果ててしまうことは
とても寂しい
だからこそ
素直に知らないふたりがいい
「この手で大切にしたいひとがいます」
この手は
いつまでも小さいままだけど
愛と呼ばせてくれないか
むずかしい意味は含ませず
愛と呼ばせてくれないか
この手は
いつまでも
小さいままだから