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千波 一也の部屋


[714] 十一月はバラード
詩人:千波 一也 [投票][得票][編集]



とじゆく風にひらかれて


それがあるいは逆だとしても

なおさら地図は

紙切れとなる



吐息はつまり消える熱


硝子に映る秒針を

遠ざけるものは

いつでも

そばに



こまやかな星座の

その呼び方を

失う痛みはもう聞こえない


感傷を

わすれるための感傷は

ささいな温度で

にわかに

とける



十一月はバラード


惜しむ隙間もなくした雑踏で

きまぐれな鍵が

ひとり

遊ぶ


十一月はバラード


なりゆきの人たちにも

避けたかった人たちにも

とべない翼が

降り積もる


2006/12/14 (Thu)

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