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千波 一也の部屋


[722] 蛍火
詩人:千波 一也 [投票][編集]



月へとのぼるその羽を

それとは知らずに

燃やすひと


あなた、涙ぐんでいますか


なつかしさをふところに

あたためる月、

とどかぬ月、

です



添い寝のほとりでささやく白は

ときをやさしく

凍らせます


目にみえるのにたどれない

そんな家路をご存じ、

ですね



孤独の背中はなだらか、です


誰かの足にいたみやすくて

誰かの足をたやすく

さらい、


うさぎ、

いつかの昔のかなしいうさぎ、


ふるえていました


川をはさんで

ひとりずつ

ふるえていました



うたがいは無く

まっすぐ、でもない


ゆめと呼ぶには

感じ過ぎるさなかは

やまい、

でしょうか


ねぇ、ほたる



2006/12/25 (Mon)

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