詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
たとえばそれは食卓のさかな
二度と泳がない姿はあわれです
しかし言葉はあぶくですから
気付かれずに消える、その
あぶくこそが
あわれです
おぼつかない箸使いでは
落としてしまう、
かけがえの
なさ
にぎやかなランプには
よくよく影が
お似合いで
いろとりどりが、春
つまり自由という名の鉄格子です
えらび抜かれた策略だけが
憂いを占めて、
あふれる
春です
たとえばそれは浴室のあかり
窓をもとめる心地よさを
つなぎ忘れて椅子に闇
照らされるほど
おかしな粒が
なじみます
透ける、すき
手にしたものに捕まって
幾度と知れず
ゆめ渡り、
その首を振ってください
縦でもよこでも
疑うことなどいたしません
それより急いで続きますから
疎遠なしらせも、
身近なうそも