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千波 一也の部屋


[762] 調律
詩人:千波 一也 [投票][編集]



小指はしずかにうつむいたまま



二度とは

乗せてもらえない背中の

去ろうとはしない

その無言


あいまいな距離のなかで

やさしい言葉が

やわらかに

燃えた


ためらいの数は

唇に映えて




行き止まりには後ろ姿を


あらわれるほど

硝子は薄く

冷たくて


まだ見ていないすべての無色を

嘘があふれる


褪せて震えて頼りなく、鍵


そこは

どこにも遠くない


つながらない



埋もれるものが声ならば

降り積もるものも

這い出るもの





手さぐりで永遠を散る

つかのまの

季節は



失うことが階段だったのかも知れない


ひかりを憶えた鈍痛に

小指はしずかに

うつむいた

まま



2007/01/11 (Thu)

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