詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
さがしてみても
しっぽは見つからない
まるで
気泡のような午後だから、
いつの窓にも
ふたりは
求めて
やわらかな、視線
だれにも始まる
デッサンの
ひとつでも、
拒む何かがあるのなら
まねごとには終わりなく、
閉じてゆく日々に
かならず添える、
小指はいつも
しずかな
レモン
物憂げな、アルト
あこがれていたのは
むしろ、ソプラノかも知れず
横顔の手がかりは、もう
あのバスに
聴かせるつもりをよけながら
おぼえた言葉をつたい合い
響いた数だけ
てのひらに、
世界は
破片をつなぐ乗り合わせ
ひたすらな足もとから
ほどいて渡るように
風たちの、ピュア
高く、向こうのためのあやまちを
あそびも眠りも
おだやかに