詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
水色のそらを眺めていると
水ではないのに水であるような
或いは逆でも済むような
忘れものの気楽さを
ひとつふたつと
思い出す
降るものは
雨なのだろうか
不思議そのものが
降っているようにも見える
わたしはときどき
思うがままに泳いだあとは
風をもとめるわたしであるから
引き潮ばかりを語ってしまう
満たすことばに
満たされもせず
ふりをしてしまう
わたし、違うのに
漂うもののあれこれは
すくわれることを
待つのだろうね
とかく気高い魚(うお)ならば
上手な距離をのぞむのだろうね
ほほえむことを
天国と呼ぶために
それが壊れてしまわぬように
たとえばまことの綺麗な器は
つくりて冥利に尽きるもの
残念なことは
せめられ上手に落ち着いたこと
教わり過ぎた子孫のわたし
しあわせというものを
よく知らない、ほんとうは
敢えて恥じらうこともなく
水色のそらを眺めている
溶けてゆくように
わたしは
眺めている