詩人:千波 一也 | [投票][得票][編集] |
運ばれてゆく
ものがたりについて
ずっと聴けずにいたことを
ようやく受け取ったのは
はやすぎた夏、の
たてがみ辺りの
なごり風
眠る、ということが
どれほどの守りであったのか
薄れてしまう手触りを
つめたくさせながら
僕たちは
うばってしまう
かなしみを
抱きしめるたび
まるで同じくすり減るように
うばってしまう
正しいすべで
けれども
認めず
ここを
あした、と呼ぶことの
ほんの少しの
違和感を
誰かの
きのうが
受け取るだろう
まぼろしと似た
熱の在りように
震えるほどに
僕たちは
また、
迎えることは
おそれとちがう
やさしい手だけに
傾いただけ
あらゆる孤独を灯せる頃に
あらゆる水の
香につつまれる
かなた、七月
たなびきを
追い