ホーム > 詩人の部屋 > 千波 一也の部屋 > 月光

千波 一也の部屋


[922] 月光
詩人:千波 一也 [投票][得票][編集]

きのうを飾る

わたしの言葉の裏がわで


だれかの爪が

あしたを研ぎます



 輝こうとする意思は

 ばらばらに統一された

 石として


 きらきら、と

 眠るのです




しまい忘れた

鏡の奥で


炎と土とを

みごもる水は

しずかに毒を清めつつ、


みな

頑なに

壊してゆきます




 慣例という免疫は

 ほろびの音色、


 おそろしく

 美しく


 そそぎます




ふたたび、


ふたたびの上澄みに

取り残されて


夜は

さびしく

溢れてゆきます


ただ、夜を



2008/09/02 (Tue)

前頁] [千波 一也の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -