詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
三つ数えたら、
きみを守るなにかになりたい、と
ひたすらに信じていた
ぼくだった
きみのとなりにいることに
多くの疑問を持たぬまま
三つ数えたら、
きみだけのぼくになろう、と
あいまいに瞬いていた
ぼくだった
きみのとなりにいることが
なんだか少しこわくって
三つ数えたら、
眠ってしまえた魔法はどこだろう、と
きみのなかのぼくに問う
ぼくがいる
きみのとなりにいることは
たったひとつの確かさで
たったのひとつも
形がない
三つ数えたら、
きみはまたきみを続けるのだろうし
ぼくもまったく同じだろうから
三つ数えたら、
ふたりの昔が
かさを増す
でも
また三つ数えたら、
それらはゆっくり消えてゆく
きみのとなりにいることで
ぼくは利口な数学者になった
忘れることが上手になった、とも言える
三つ数えたら、
今度はなにと出会うのだろう、と
ぼくはあしたを呼んでいる
きみのとなりにいることの
意味するところの
昨日のために