詩人:千波 一也 | [投票][編集] |
この腕に
守れるものなど少なくて
そのくせなにかを
守ってみたくて
だから
たとえば
波打ち際で
きれいな貝殻を
探してる
きみは
きれいな貝殻を
よろこぶだろうから
きみを
よろこばせることは
守りのひとつで
あるはずで
ぼくは
きれいな貝殻を
探してる
貝殻は
その身の奥で
言葉を守る、ってね
昔なにかで読んだんだ
ぼくも
この身の奥で
言葉を守ってる
はじめて告げた誓いのことや
きみからもらった
優しさ
弱さ
ぼくは
守ってる
波音が
心地よいね
ぼくたちをつれ去らない
波音は安心するよね
こんな言葉も
貝殻はその身の奥にしまうかな
波打ち際で
きれいに黙って
ぼくたちみたいに
なにかを
信じて