詩人:COIN | [投票][編集] |
星がひとつも見えない夜。
その日はとても寒かったけれど、
しん、とした静寂が
やけにさびしくて。
そっとベランダの窓を開けた。
暖かかった部屋に
ゆっくりと、
ゆっくりと、
浸透していく冷たい空気に
ちょっとだけ、
泣きそうになった。
ぬるい空気につつまれて
静寂に耳を傾けてみれば、
君のやさしい囁きが、
聞こえた気がして。
なんだか余計に、涙を誘った。
君に会いたい、逢いたい。
声をきいて、ふれて、
温もりを確かめて。
いっそひとつになるくらいに
つよく、抱きしめたい。
君が愛しい。
そんな、ひとりの夜。
星がひとつも見えない夜。
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俯いた君の目尻から、
つ、と
しずかに、きれいに
透明な雫が、頬をつたった。
僕はきっと
最低な奴、なんだろうな。
その君の涙をみて、
きれいだと、思うなんて。
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落ち込んでいるなら。
「元気だよ」
なんて、
無理に笑わないで、いいのに。
ごめんね、
抱きしめてあげる事しか
出来ないんだ。
ねぇ、どうすれば
君の笑顔を見られるのかな。
わからなくて、ごめん。
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君が何に怯えて
何に傷付くか、なんて。
きっと僕は、
わかっていないんだろう。
でも
もっと、頼ってほしいんだ。
君の周りにある
優しさに、温もりに、
もっと、甘えてほしいんだ。
「血を見ると、安心する。」
と
君は、いうけれど。
自分を傷付けようとする、
その手を、とめて。
すこしだけ、深呼吸して。
そして、
君を見守るほのかな笑顔。
それに気付いた君がいつか、
安心できる日が、くるといい。
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僕の心臓は今も、ほら
どき
どき
どき
早鐘を打っているのに
どうして、君は
目の前で。
くだらない事を話して、
やわらかく、笑って。
「好き」な気持ちが
加速するのは
きっと、
無自覚な、君のせいだよ。
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僕の靴の靴紐はよく解ける。
「靴紐、解けてる」
直さないんじゃないよ。
君に直してもらうのが、
好きなだけ。
呆れながら小さく笑って
靴紐を縛ってくれる君の顔が
なんだかお気に入り。
靴を履く度、紐はいつも
ちょっとだけ、ちょっとだけ緩めに
不格好なりぼんの形にして。
そんな小さな秘密は、
もうすこし
悪戯なこころに隠したまま。
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出会った時から、
それは決まっていたんだ、と。
思う。
初めて君と擦れ違ったあの廊下で
今でも君と僕、ふたり。
手を繋ぐ事も出来ないまま
こそばゆい気持ちで言葉を交わして。
意地っ張りな君と
不器用な僕。
それでもいい、君となら。
大丈夫、きっと僕たち
なんやかんやで互いに互いを気にしながら。
意味も無く、確実に。
すこしずつ進んでいっている。
だから、このままで。
君とふたり、ふたり。
ゆっくり、ゆっくり、恋をして。