詩人:ぺこベット | [投票][編集] |
透き通った水の中で溺れている気分だ。
空は見えているのに、どっちが上だかもわからずに、ただただもがいている。
(君は、)
僕が溺れているのを、知ってるだろうか。
もがいている僕を見て、君は何を思うのだろうか。
いつからか離れていった距離と気持ちが、僕の胸の中をまだ交差している。
引き寄せた君の腕の細さや香りを、僕はまだ覚えている、のに。
この距離がもう二度と、縮まることはない。
そんなこともう、分かっているのに。
(気づいていた、)
君の気持ちが、僕から離れていってることに。
気づいていながら、気づいていない、フリをしていた。
君から別れを告げられるのが怖くて、ずっとずっと逃げていた。
そんなものではもう、君を繋ぎ止めておくことなどできないと分かっていたのだけれど、少しでも君の側に、いたかった。
(遠い、遠い……、遠い、ナァ)
想い出だけが渦を巻いて、いい加減前に進みたい足をひき止めるから、僕はこうしていつまでもここから離れられないでいる。
(とおい、とおい)
(あの頃のぼくら)
(とおい)
(ぼくらの距離)
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どんな美しい花たちだって
僕の嘘は隠せない
でも嘘で塗り固めた花束を
受けとったのは君でしょう?
僕らは同じ空気を吸った共犯者
人間の形をした罪
知ってる?人間わね
生まれながらにして
罪を持っているんだ
それじゃあ罪を重ねた僕らは
とんだ極悪人だね
そういうと笑ったきみは
もう
(あの頃の僕らはもういない)
(想い抱いていた未来の結末が、これ)
君の腕いっぱいの花束と嘘を、送る
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きっとこれからも彼が、
私を見ることはない。
そんなことわかってる。
でも彼の笑顔を見る度に
どうしようもなく騒ぐ胸を
抑えることはできなくて、
胸の鼓動に押し潰されそうになる。
(出会ってなかったら)
そんなこと思っても仕方ない
なんてことはわかってるよ。
でも、そう思ってないと
救われない、私が。
きっとこれからもあの唇は、
あの子の名前を呼ぶために動く。
私以外の誰かと幸せになるために、
あなたは生まれてきたんだろう。
きっとそんなこともう
最初からわかっていた。
望まない恋なら
最初からしなきゃいいなんて、
そんなこと人事だから
言えるんじゃないか。
すきになってくれるから
すきになったんじゃない。
どうしようもない恋だと最初から
あきらめていたわけでもない。
ふとした瞬間に彼の隣に
ずっといたいと思ってしまった。
そう思ったらもうだめだった。
(恋とは、きっとそうゆうもの)
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ギターとコーラとタコスを引っ提げて
ロールスロイスよろしく
いかしたビートであの空を突っ切る
空に信号はない
止まらなくていいんだ
履き古したスニーカーの
つぶれた踵を踏んで空にダイブする
遮るものは何もない
ねえ、一緒に青空に溶けてみない?
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何度も振り返るのは
君を探しているわけじゃないよ
君に似た人を町で見つけると
つい反応してしまうのも
君のことを引きずってるわけではないよ
いるはずもないのに
いるわけもないのに
言い訳をやめてしまったら僕はきっと
溢れ出る想いを止められなくなってしまうから
ムリヤリにでも押さえ付けようとするんだ
いるはずもないのに、
いるはずもないのに振り返るのは
君じゃなくて
君の残像をそこに見つけるから
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次に生まれ変わっても
僕と出会ってくれるかい?
ポケットに一人分の
愛を詰め込んで
5、4、3、2
今度生まれ変わったら
次こそはうまく愛せたらいいな
1、
ばいばい、君
0
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あのころの僕も君も
不器用ながらもお互いを
思い合っていたんだね
今なら分かるよ
君のいない部屋の広さも
鳴らない携帯の場所も
くだらないことで笑い合っていた
あの日の想い出が
どんなに幸せなものだったのか
スーツを着こなして
ネクタイを締めて
そうすることで過去の僕を
取り払っているかのように
ねえ君、今もちゃんと笑ってますか?
僕のことを時々想い出しますか?
僕は君がいなくなって少しだけ
大人になった気がする
目玉焼きも焦がさなくなったし
朝も起きれるようになった
君の手を取って走り出して
夢を追っていたあの頃みたいに
走って、みようか
スーツを投げ捨てて
ネクタイを緩めて
そうやって走ったあと
ドキドキと揺れる心臓に
手をあててみようか
この心臓の寿命は君がいた時より
少しだけ延びるんだろうな
そしたらもう一度
鳴らない携帯を手に取って
未だ消せない番号を押してみようか
(もしもし、愛ですか?)
トレーナーにジーパン姿の
僕の隣りで笑っている
花をあしらったカーディガンを着て
ふわふわのスカートをはいた
君が好きだった
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お前に会えてよかった
俺は幸せだったよ
出会えてよかった、ありがとう
俺の後悔は、
お前の未来に
俺がいないことだよ
ずっと一緒にいるなんて
安っぽい約束してごめんな
俺はもういないけど、
幸せになれよ
お前は甘い物控えて、
もう少し素直になるように
俺のこと忘れていいから
想い出だけはとっといてよ
そしたら俺はいつだって
ここに帰ってこれるから
あ、俺もう行くわ
大丈夫だよ、きっと
お前ならうまくやれるよ
じゃあな
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のりこんだ駅には名前がなかった
君の手を握って
引きずりこむように飛び乗った
外を見てと君がいうから覗いてみれば
想い出のレールが僕らを運んでいた
こうやって想い出に囲まれすぎて
僕らはきっと行く先を
見失っていたんだね
レールなんかなくったって
道なんか探さなくったって
これからも君となら走って行ける
さあ行こう、と君と窓から飛び出せば
想い出のレールは過去を運んでいった
君の手を握ったままそれを見送れば
なんだかロマンチックね、
なんて君が笑うから
僕は飛び乗った名前もない駅に
君の名前をつけた