詩人:歹←ガチ | [投票][得票][編集] |
五感で愛したあなたを
これから忘れていくのです
忘れるために
思いだしていくのは
ちょっと不思議でした
忘れる順番があったのです
匂いを忘れました
好きで使っていた香水や
抱きしめたときのふっと香る匂いが
はじめに無くなりました
味を忘れました
良く作ってくれた得意料理や
あなたと重ねたキスの記憶が
ほとんど無くなりました
感触を忘れました
あなたのやわらかい肌や
初めて手をつないだ時の感覚が
次第に無くなりました
音を忘れました
目覚めの時のちょっと低めの声や
不思議でかわいいくしゃみの仕方が
少しずつ無くなりました
顔を忘れはじめました
あなたの笑った時の顔や
密かに撮って怒られたあの寝顔が
無くなりはじめました
五感で愛したあなたを
今確かに忘れていくのです
すべてを忘れたはずなのに
それでも残るこの気持ちは
何と呼ぶのだろう
五感で忘れたはずなのに
確かに残るこの気持ちは
何と言うのだろう
呼び方を知らない第六感
忘れることはできないのです
ぼくはあなたを本気で愛したのだから