詩人:大示 | [投票][編集] |
愚かな戦の為に
辛酸を舐め、そして
いなくなってしまった人達
今の、この国の姿は
あなた方が望んだ姿ですか
何のために自分は戦ったのだろう
何のために己は苦しさも貧しさも
耐えたのだろう
責める声は蝉が伝え
向日葵が凝視する
悲しみの声は鈴虫が伝え
紅葉が、はらはらと零れる
謝る言葉すら
僕には浮かんでこない
何ができるのだろう
その時を生きた語り部達も、もうじき
いなくなってしまうのに
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錆び付いた仮面は、いつ剥がれるの
赤い錆が、爛れた皮膚の様に
執拗に、醜いままで
創造主に与えられた嘘つきな顔
至福感じたのは与えられた、その時だけ
美しく銀色に輝いていた顔は
真実の僕を知ろうとしない下等な悪魔達に汚され傷つけられた
仮面が顔に
顔が仮面に
生まれ堕ちたその時から、僕はペルソナ
僕はペルソナ
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ピースが台紙に、はまらない
この形は絶対
この場所に、はまるはず
ほら、おさまった
ピースが少し破けたけど
角が無くなったけど
痛くも痒くもありません
仕上げてみたら
隙間はあるし、絵は意味不明
哀れなパズルは
誰に理解されるのか
作った人を憎むのか
やり直してくれるのを待つのか
体は傷み
心も、バラバラ
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月の冷たく鋭利な光が
君の瞼を撫でる
そんな夜は遠い昔に鍵をかけたはずの扉が
軋んだ音をたてて君を招く
苦しげに呻く君を
不躾な執事が妖しく誘い込む
手を振り払って
そんな男に惑わされないで
君の苦しみを解ろうとしている僕にその身をゆだねて
扉の鍵は
君の代わりにかけてあげるから
親切なフリした、悪い執事は
僕が閉じ込めてあげるから
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身体が軋むほどの
吐きそうなほどの
己以外ヘの憎しみは、真夜中に膨らんで
遠吠えが響くなか
汗ばむ身体を起こす
鏡よ
僕の中には何が居る
月よ
夢の中で僕は何をした
見ているのはお前だけ
鏡像の己
見ていたのはあなただけ
月の君
そう、あなただけ
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全てが禍々しくも美しい猩々色に染め上げられる逢魔が刻
夏の夢の死骸を集めて弔うように火を点す
暖かい火も
過ぎれば、この身は
役に立たぬ炭の塊
少なくとも炎を纏っている間は暖を求める誰かの役に立てるだろうか
見つめる先は
夏の夢の葬儀
幻想の終わりは
いつも逢魔が刻の神の社
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泣き笑いのピエロ
くるりと回って
おどけて跳ねて
数多の笑顔と拍手に深く一礼
やっと終わったピエロの時間
夜を行き交う
無表情の人混み
その群れに
男は見事に紛れ込む
筋書き通りの舞台
愛想笑いの一日が漸く
終わる
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朝靄の衣を纏った竹林
葉擦れのさざ波の中で
カタリ
コトリ
と、虚しい鞘当て
言の葉は、時に鋭利な刃より深く抉る
刃など無いのに時に両刃になり己すら傷つける
空を見上げると引き際を誤った月が
そっと笑った
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前を向いて真っ直ぐ立っていた一つの大きな花
フェンス越しに、こっそり見上げていた
早く君と同じ高さになりますように
雨に濡れて佇んでいる君は項垂れて寂しそうだった
手を伸ばし持っていた黄色い小さな傘を、どうぞ
季節の終わり
久しぶりに会いたくて
君がいるあの場所へ
憧れていた姿は無く
渡した傘に潰され・・・
頼りない小さな種達だけが遺されて
一握りの命
一粒の小さくて
なんて
なんて重い、大切な命
君の亡骸を埋めて
新しい命を埋めて
どうかまた、生まれて来てください
そしてまた、どうしようもないぐらいに憧れさせてください
誰もいなくなったフェンス越しに
夕日が沈んでいく
君も見ていたんだね
見つめ続けた憧れが消えゆき
そして、当たり前のように生まれてくる奇跡の瞬間を
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ザラリと石榴の紅い粒が
口の端から『ポタリ』と
あぁ、綺麗
白い君の周りにばら蒔こう
まるで上等なガーネットを敷き詰めた様
残酷な色した小さな粒
キラリと光る思惑は
誰にも気づかれないままで